自然保護常任研修会

自然保護常任研修会

前年度以前のPDF版報告書は次からご覧願います。


平成30年度常任委員研修会実施報告

開催日  平成30年7月15日 午前10時~午後4時30分
場所   国立オリンピック記念青少年総合センター
参加   22名(常任・専門 11名、実行委員11名)
 
 常任委員、専門委員に加え首都圏岳連所属の自然保護委員を対象に、次の二点を目的に午前午後の終日研修を行った。午前には、自然保護委員会の新組織の常任委員・専門委員体制について説明および今後事業の運営について説明おこなった。特に、11月に予定の自然保護委員総会(山岳自然保護の集い)では、実行委員会制にて実施を予定しているので、出席のメンバーに実行委員としての関わりを要請した。午後には、各地の山岳で機運が高まっている山岳携帯トイレ利用について、上幸雄・張晶子・土屋俊幸の3氏を招聘にてレクチャーの拝聴と意見交換を通して研修を行った。
 
(レクチャーの要点)
上幸雄氏(NPO法人日本トイレ研究所 理事):
山のトイレは、どこまで改善されたのか―自然保護と携帯トイレとのつながりで―と題して、山岳トイレの経緯と今後の展望をテーマにレクチャー。これからは自然への汚染はわが身に災厄となって降りかかるから、環境の保全に向けては「やるしかない」との視点が重要。
山岳トイレと言えば「富士山」では、2004年(静岡)に、2006年(山梨)に、それぞれ「垂れ流しトイレ」に終止符が打たれた。屋久島でもバイオトイレが導入。高尾山でも都市型トイレが導入。このようにバイオトイレの導入や進化が進んでも自然の汚染か解消されたわけではなく。問題は設備だけでなく登山者自身で解決することも肝要。それには携帯トイレの利用促進などの登山者意識の改革である。そこで、①日本山岳・スポーツクライミング協会自然保護委員会として、山岳トイレの現状と課題を調査分析する。②同時に、入山者の一人として、トイレに対する自覚と一般登山者への広報・啓発活動を積極的に行う。③「日本の山岳トイレレポート」を出版、または、インターネットで情報発信する。
――など策を配慮するべきである。
 
張晶子氏(HAT-J携帯トイレ専門委員):
女流登山家としてトイレ問題は切実なところ、意識改革からまず「携帯トイレ」の常備を習慣化させることが必要で、「山にイイコト、ザックに一つ携帯トイレ」をお互いに呼びかけを行うべき。何年か以前にロシアの女性クライマーを招いて小川山でキャンプ・クライミングを1週間で行ったおり、全日程を携帯トイレで行ったことがある。定着型のキャンプではあったが、10~16人の7日間で、45リットルのポリゴミ袋で5袋保護の量で、キャンプサイトでは業務ゴミとなるということで、スタッフ数名で分け合いにて持ち帰り可燃ゴミとして処理した。トイレ設備が整備されたとはいえ、混雑のため利用が及ばず「その辺で用足し」などといったことも見受けますが、「山に糞尿を置いてくることに罪悪感を感じる」くらいの意識で、携帯トイレの持参を考えるべきでしょう。
トイレのセットし方や使用方法、用済みトイレの処理や携行方法など、熟知しておくべきでしょう。
 
土屋俊幸(東京農工大教授):
自然の立地を利用した野外活動に於いてその適正利用を、空間の計画, 管理のあり方を示したROS(Recreation Opportunity Spectrum:利用体験多様性計画法)がある。山岳におけるトイレ問題をそのような観点から論じてみる。ROSは、様々な質の野外レクリエーション体験を提供するための土地利用計画のための土地の区分の意味であるが、例えば、横軸に原生区域、自然区域、準自然地域、準整備地域、整備地域と、縦軸に環境、施設、管理とし、それぞれのあり様をマトリックス状に配して、トイレを考えてみると、原生区域は立ち入りがないのでトイレなし、自然区域は携帯トイレブース、準自然区域・準整備地域は汲みとり式トイレ、整備区域は水洗トイレといった施設設定が考えられる。
携帯トイレについては、「自然体験の質」が、原生的な体験・静けさ・孤独などの傾向の強い、例示した大雪山の事例で言えば「原生地域」、「自然地域」における施設と考えるべきで、どこでも良いから使うべきである、ということにはならない。
その大雪山国立公園では、2006年にROSの初導入る登山道管理水準が策定され、2018年に大雪山国立公園携帯トイレ普及宣言を伴って、民間との協働で運動が始まった。「ビジョンの策定→ゾーニング(ROS)の策定→トイレ整備案(携帯トイレの導入を含む)の作成」という一連の過程を行うのは、相当の時間と手間と熱意が必要と思われるが、関係者と粘り強く合意形成を図っていく「王道」以外に解決の道が期待される。利用者(登山者)や関係業者、そして一般住民をどのように巻き込んでいくかが課題とみられる。


 
前年度以前の常任研修会実施報告

 

Content menu

山岳
JMSCA
スポーツクライミング
山岳保険